2026年7月1日、オーストラリアの最低賃金が引き上げられました。
時給$24.95から$26.44へ。上げ幅は4.75%です。
ニュースとしてはこれで終わりなのですが、実際に現地で働いている側からすると、この数字だけを見て来ると必ず戸惑います。
なぜなら、$26.44は僕が受け取っている時給ではないからです。
僕の時給は$33.05。しかも土日は$39.66になります。
この記事では、改定前と改定後の給与明細を実際に並べて、
- 最低賃金の$26.44が、どうやって$33.05になるのか
- 「7月1日から上がる」の本当の意味
- 時給が上がったのに手取りが減った理由
- 明細に出てくる「ワーホリ税」と「退職年金」
を、全部実物ベースで解説します。
これから来る人が、数字の見方を間違えないための記事です。
1. 2026年7月、最低賃金が引き上げられた
まず全体像から。

Fair Work Commissionの年次賃金レビューにより、2026年7月1日以降、全国最低賃金と各業界のAward(業界別の労働協定)の賃金率が4.75%引き上げられました。
僕が働いているのは飲食業なので、適用されるのはRestaurant Industry Award(MA000119)です。この中のLevel 1(キッチンハンドなど)の基本時給が、$24.95から$26.44に上がりました。
ここまではニュースで報じられている通りです。
問題はここからです。
2. 最低賃金の数字は、あなたが受け取る額ではない
日本人が一番誤解するポイントがここです。
オーストラリアの雇用形態は主に3つあります。
- Full-time(フルタイム・有給あり)
- Part-time(パートタイム・有給あり)
- Casual(カジュアル・有給なし)
ワーホリで飲食や小売で働く場合、ほとんどがCasualです。
そしてCasualには、有給休暇や解雇予告がない代わりに、Casual Loading(カジュアル手当)として基本時給に25%が上乗せされます。
つまり計算はこうなります。
$26.44 × 1.25 = $33.05
これが僕の平日の時給です。
さらに土日は1.5倍の計算になるので、
$26.44 × 1.5 = $39.66
土曜も日曜も、この時給で働いています。
「オーストラリアの最低賃金は$26.44」という情報だけを見て「思ったより安いな」と感じた人もいるかもしれませんが、実際に振り込まれるベースはこれより25%高いというのが、カジュアルで働く人の現実です。
3. 【実物公開】改定前後の給与明細を並べてみた
ここからが本題です。
僕の実際の給与明細を2枚並べます。上が改定前、下が改定後です。

読み取れることを整理します。
改定前(6月29日〜7月5日)
- Casual Base:$31.1875
- 土日(Ord x1.5):$37.425
- 労働時間:39.75時間
- 総支給:$1,350.42
- 手取り:$1,147.42
改定後(7月13日〜7月19日)
- Casual Base:$33.05
- 土日(Ord x1.5):$39.66
- 労働時間:35.5時間
- 総支給:$1,227.81
- 手取り:$1,043.81
時給は確かに上がっています。
でも、ここで2つ気づくことがあります。
4. 注意①:7月1日から即上がるわけではない
上の明細をもう一度見てください。
6月29日〜7月5日の給与期間は、7月1日をまたいでいるのに、時給は$31.1875(改定前)のままです。
これは会社のミスではありません。制度上そうなっています。
賃金率の改定は、「7月1日以降に始まる最初の完全な給与期間」から適用されるというルールがあります。
僕の職場は週給(月曜〜日曜)なので、
- 6月29日(月)開始の週 → 7月1日をまたぐが、開始が6月なので旧レート
- 7月6日(月)開始の週 → 7月1日以降に始まるので新レート
という区切りになります。
「7月1日から最低賃金が上がる」という情報だけを見ていると、7月1週目の給料明細を見て「上がってないじゃないか」と焦ることになります。僕も最初は戸惑いました。
給与期間が週給か隔週かによってもタイミングは変わるので、自分の職場の給与サイクルを確認しておくと安心です。
5. 注意②:時給が上がっても、手取りは減ることがある
もう一つ、明細を並べて初めて見えたことがあります。
時給は上がったのに、手取りは減っています。
- 改定前:39.75時間で手取り$1,147.42
- 改定後:35.5時間で手取り$1,043.81
理由は単純で、労働時間が4.25時間少なかったからです。
時給が4.75%上がっても、シフトが1割減れば、手取りは減ります。
これは当たり前の話に聞こえますが、ワーホリの収入を考えるうえではかなり重要です。
「最低賃金が上がったから稼ぎやすくなった」というのは半分正しくて、半分間違いです。実際の収入を決めているのは、時給よりもシフトを何時間もらえるかの方だからです。
仕事を選ぶときに時給だけを比較する人は多いですが、「週に何時間入れるか」を確認しないと、手取りの予想は大きく外れます。
6. 明細に出てくる「ワーホリ税」と「退職年金」
給与明細には、時給と労働時間以外にも重要な項目が2つあります。

ワーホリ専用の税区分(PAYG S15)
明細のTaxの欄に「PAYG S15: Working Holiday Maker」という行があります。
これはワーキングホリデーメーカー専用の税区分で、現地の居住者とは異なる計算がされます。この週は$184が天引きされていました。
総支給$1,227.81に対して手取り$1,043.81。この差額が税です。
つまり、「時給$33.05」から想像する金額と、実際に振り込まれる金額は違います。
数字を見るときは、時給ではなく手取りで見た方が、生活の設計を間違えません。
※税額は収入額によって変わります。また税制は改定されることがあるので、詳細はATO(オーストラリア国税局)の公式情報を確認してください。
退職年金(Superannuation)
もう一つ、見落とされがちなのがSuper(退職年金)です。
明細には「Superannuation Guarantee Contribution(SGC)」という行があり、この週は$147.34が計上されていました。
これは給料から引かれているのではなく、会社が給料とは別に積み立てているお金です。
そして重要なのは、ワーホリで帰国する場合、このSuperは申請すれば受け取れるという点です(DASP:Departing Australia Superannuation Payment)。
ただし、
- 自分で申請手続きをする必要がある
- 受け取り時に税金がかかる
- 一定期間放置すると国に移管される
という条件があります。
僕もまだ申請していないので、実際に手続きをしたら、その手順は別記事で全部公開する予定です。
7. まとめ:これから来る人が知っておくべき3つのこと
長くなったので、要点だけまとめます。
① 最低賃金$26.44は、あなたの時給ではない カジュアル雇用なら+25%で$33.05。土日は$39.66。求人を見るときは、この前提で計算してください。
② 改定は「7月1日以降に始まる最初の給与期間」から 7月1週目の明細が旧レートでも、間違いではありません。
③ 収入を決めるのは時給よりシフト時間 時給が上がっても、入れる時間が減れば手取りは減ります。仕事を探すときは、時給と一緒に「週に何時間入れるか」を必ず確認してください。
数字の見方さえ間違えなければ、オーストラリアのワーホリは十分に「稼げる」選択肢です。
ただ、時給を知っただけでは何も始まりません。実際には、この3つが揃って初めて手元にお金が残ります。
1. その時給の仕事を見つける
僕はレジュメを1枚も配っていません。Facebookで送った1通のメッセージの全文と、50人の応募者から選ばれた理由をまとめています。

2. 稼いだお金を、目減りさせずに動かす
記事内で書いた通り、給料からは税が引かれます。その上、日本の銀行経由で送金・両替すると、レートと手数料でさらに差が出ます。僕は渡豪してから5ヶ月、送金も両替もすべてWiseです。

3. 実際にいくら残るのかを知る
この時給で1ヶ月生活した結果を、給与明細・レシート・家計簿まで全部公開しています。僕の場合は週40時間・一人部屋・食費はまかないと釣った魚という条件で、月29万円が残りました。

参考にした一次情報
- 僕自身の給与明細(2026年6月・7月)
- Fair Work Commission 年次賃金レビュー 2025-26
- Restaurant Industry Award(MA000119)
※本記事の数字は僕の職種・雇用形態(Restaurant Industry Award / Level 1 / Casual)に基づくものです。業界・職種・雇用形態によって適用されるAwardと賃金率は異なります。正確な情報はFair Work Ombudsmanの公式サイトで確認してください。


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